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ブルーノ・ラトゥール (Bruno Latour、1947年6月22日 - ) は、フランスの社会学者。専門は、科学社会学、科学人類学。アクター・ネットワーク理論に代表される独自の科学社会学の構想によって知られる。パリ国立高等鉱業学校での教授経験を経て、2006年からパリ政治学院教授。翌2007年から同学院の副学長を務める。なお、その名前は英語圏ではブルーノと発音されるが、本来はブリュノ・ラトゥールである。
人物1947年、フランス・コート=ドール県のボーヌに生まれる。ミシェル・セールの影響を受けて哲学のアグレジェとなった後、人類学に興味をもち、コートジボワールでフィールドワークを行う。その後、民族誌的記述を応用して実験室内の科学者について記述する科学社会学的実践に取り組み、1979年、スティーヴ・ウルガーとの共著『実験室の生活――科学的事実の社会的構成』を発表。 科学社会学において当初社会構成主義の立場に立っていたが、1980年後半ごろからアクター・ネットワーク理論(人とモノを同位のアクター(アクタン)と位置づけ、その相互関係によって事象を説明しようとする社会科学理論)へ移行。ミシェル・カロンやジョン・ローなどと共に理論的洗練に取り組んでいる。 思想ラトゥールの社会学の中心に位置するのは、「主体‐客体」という近代的二分法からの脱却という問いである(社会‐自然等の二分法も同様)。ラトゥールは、この問いに対して、プレ・モダンに回帰するのでもポスト・モダンに回避するのでもなく、「人間‐非・人間」によるアクター・ネットークという「ノン」・モダンの決着法を提案する(このアイディアは、ミシェル・セールの「準主体、準客体」概念からヒントを得ている)。 ラトゥールの主張するところ、近代としてくくられている時代は、実は上述の二分法に回収されないハイブリッドがひたすら産出されてきたのだが、「近代」という概念装置によってそれらは覆いかくされてきた(よって、「われわれはモダンであったことなどない」となる)。この構図を検証し直し、あらたな可能性を開こうというのがラトゥールの論の眼目である。 これに対して、従来の科学社会学が与えてきた説明は、集合体的な存在から科学の諸分野を摘出することによって得られた「社会という無用な概念の人為的な起源」についての説明であり、単に科学の専門的な説明と社会的要因を結び付けるだけで、お互いに無関係な文脈が併記されているに過ぎないと論断する。そのため、ラトゥールは「社会」という概念を説明記述から捨て去ることによってこの事態を解決しようとする。 こうした発想は、経験的な地平から「主体の脱中心化」に取り組むジョン・アーリやスコット・ラッシュらの社会学にきわめて強い影響を与えており、科学社会学のみならず社会学の方法論全般の再審を迫るものとなっている。 代表作ともいわれる『虚構の「近代」』においては1989年を社会主義の終焉を意味していたと同時に、地球環境会議が各地で開催された点である勢力にとっての資本主義の終焉を意味してもいた人類史的な特別な年と見なし、近代化・反近代化・ポストモダンのいずれものアプローチが疑問視されたという(邦訳p.25)。ラトゥールは「近代」を「翻訳」と「純化」のふたつの実践としてみなす。「翻訳」の過程においては自然と文化が混ぜ合わされ、ハイブリッドが生み出される(ネットワーク)。「純化」の過程においては人間(文化)と非人間(自然)という領域が生み出される(近代化)。しかしそれぞれの過程は相互補完的あるいは相互作用的で、一方は他方なしに活動できない。「翻訳と純化のふたつの実践を別個のものと捉えているなら、私たちは間違いなく近代人である。つまり、近代論が唱える事業を進めているつもりであっても、その実、水面下ではハイブリッドを増殖させ、それが近代構築の事業を下支えしている。純化の働きとハイブリッド化の両方を視野に収めれば、純粋な近代人であることがとたんに難しくなり、未来は姿を変え始める。そしてこれまで近代人として存在してきたことを否定しなければならなくなる」(邦訳pp.27-8)。ラトゥールは「純化」の実践が「翻訳」の実践を可能にしていること、そして「ハイブリッドの存在を公式に認めることで怪物の増殖を遅らせ、生産を制御し、発展方向を変えることとができる」とする。『虚構の「近代」』では憲法・革命・相対主義が独自の観点から分析されている。 主な著書単著
共著
参考文献
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